Led Zeppelin「Stairway to Heaven」から学ぶ音楽理論|半音下降とマイナーコードの秘密
Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)の「Stairway to Heaven(天国への階段)」。
静かなアコースティックギターから始まり、最後は力強いロックサウンドへ変化していく名曲です。
この曲のイントロには、音楽理論を学ぶうえで面白い仕組みがあります。
それが、ベース音が半音ずつ下がっていくコード進行です。
難しそうなコードが並びますが、実は音の動きを見ると、とてもわかりやすくなります。
今回は、マイナースケール、オンコード、クリシェなどを比較しながら解説します。
今回の楽曲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アーティスト | Led Zeppelin |
| 曲名 | Stairway to Heaven(天国への階段) |
| 作詞・作曲 | Jimmy Page、Robert Plant |
| 収録アルバム | Led Zeppelin IV |
| 発表年 | 1971年 |
| 基本のキー | Aマイナー |
| 主な楽器 | アコースティックギター、エレキギター、リコーダー、ベース、ドラム |
| 学べる理論 | 半音下降、クリシェ、オンコード、マイナースケール、モード |
公式音源
Led Zeppelin公式チャンネルの原曲音源です。
アルバムジャケット
Led Zeppelin公式サイト|Led Zeppelin IV
1971年発売のアルバム『Led Zeppelin IV』に収録されています。
ジャケット画像は転載せず、公式ページから確認できるようにしています。
曲のコード進行
この曲は約8分の長さがあり、曲が進むにつれて演奏が大きく変化します。
まずは主要なコード進行を比較してみましょう。
| 曲の部分 | 主なコード進行 | 特徴 |
|---|---|---|
| イントロ | Am → Eaug/G# → C/G → D/F# → Fmaj7 | ベースが半音下降 |
| 序盤のAメロ | Am → Eaug/G# → C/G → D/F# → F | イントロの流れを使用 |
| 序盤の展開部 | C → D → F → Am | 明るさと暗さが交わる |
| 中盤の歌唱部 | C → G/B → Am | ベースが下降 |
| 中盤のつなぎ | Am7 → Dsus4 → D | リズムと響きが変化 |
| ギターソロ | Am → G → Fmaj7など | シンプルな進行を反復 |
| 終盤のロック部分 | Am → G → F → G/G# | 力強いリズムへ変化 |
| エンディング | Am | Aマイナーに着地 |
※学習用に主なコードを整理しています。実際の演奏では細かな経過音や装飾音が含まれます。イントロの2番目のコードなどは、資料によって異なる名前で表記されています。
Aマイナーのスケールを比較しよう
この曲の中心はAマイナーです。
しかし、使用される音を調べると、Aナチュラルマイナーだけでは説明できない部分があります。
| スケール | 構成音 | 特徴 |
|---|---|---|
| Aナチュラルマイナー | A B C D E F G | 基本のマイナースケール |
| Aハーモニックマイナー | A B C D E F G# | GがG#に変わる |
| Aドリアン | A B C D E F# G | FがF#に変わる |
| Aマイナーペンタトニック | A C D E G | ロックのソロで使いやすい |
注目したいのは、G#とF#です。
この2つは、Aナチュラルマイナーには含まれていません。
しかし、イントロの下降するベースラインには両方の音が登場します。
ここから、ひとつのスケールだけにとらわれないコードの使い方が見えてきます。
ダイアトニックコードの比較
ダイアトニックコードとは、音階に含まれる音を使って作った基本的なコードのことです。
AナチュラルマイナーとAドリアンを比較してみましょう。
| 度数 | Aナチュラルマイナー | Aドリアン |
|---|---|---|
| Ⅰ | Am | Am |
| Ⅱ | Bdim | Bm |
| Ⅲ | C | C |
| Ⅳ | Dm | D |
| Ⅴ | Em | Em |
| Ⅵ | F | F#dim |
| Ⅶ | G | G |
※表は三和音です。度数は音階上の位置を示しています。
特に重要なのが4番目のコードです。
AナチュラルマイナーではDmですが、AドリアンではDになります。
Dの構成音はD・F#・A。
つまり、Dコードに含まれるF#によって、ナチュラルマイナーとは異なる響きが生まれます。
ただし、この曲全体がAドリアンというわけではありません。
基本はAマイナーであり、部分的に異なる音やコードが使われていると考えるのが自然です。
この曲の面白いところ① ベース音が半音ずつ下がる
イントロのコードを、もう一度見てみましょう。
Am → Eaug/G# → C/G → D/F# → Fmaj7
この進行で注目したいのは、コードの名前よりもベース音です。
| コード | ベース音 | 動き |
|---|---|---|
| Am | A | 出発点 |
| Eaug/G# | G# | 半音下がる |
| C/G | G | 半音下がる |
| D/F# | F# | 半音下がる |
| Fmaj7 | F | 半音下がる |
A → G# → G → F# → F
このように、ベース音が5つ連続して半音ずつ下がっています。
ギターの低い音だけを追いかけて聴くと、この動きがよくわかります。
コードそのものは変化していても、ベースがなめらかにつながることで、自然な流れが生まれます。
この曲の面白いところ② オンコードとは?
イントロには「Eaug/G#」「C/G」「D/F#」といったコードが登場します。
このように、コード名にスラッシュが付いたものを、オンコードまたは分数コードと呼びます。
例えばC/Gなら、Cコードの構成音を使いながら、Gを最低音に置くという意味です。
| コード | 構成音 | 最低音 |
|---|---|---|
| Am | A C E | A |
| Eaug/G# | E G# B# | G# |
| C/G | C E G | G |
| D/F# | D F# A | F# |
| Fmaj7 | F A C E | F |
Eaugはオーギュメントコードと呼ばれ、5度の音を半音上げたコードです。
なお、イントロの2番目の和音はE/G#やCmaj7(#5)/G#などと表記されることもあります。
これは、実際に鳴っている音をどうまとめて考えるかによる違いです。
この進行を理解するうえで最も大切なのは、G#というベース音が次のGへ半音でつながることです。
この曲の面白いところ③ クリシェという仕組み
今回のイントロのように、同じ和音を土台にしながら、ひとつの音を少しずつ動かす手法をクリシェと呼びます。
特にマイナーコードで使われることが多い進行です。
例えば、次のようなコードを考えてみましょう。
| コード | 構成音 | 動く音 |
|---|---|---|
| Am | A C E | A |
| Am(maj7)/G# | G# A C E | G# |
| Am7/G | G A C E | G |
| D/F# | F# A D | F# |
| Fmaj7 | F A C E | F |
これは半音下降を理解するための比較例です。
実際の「Stairway to Heaven」のイントロとは、すべての構成音が同じではありません。
しかし、A → G# → G → F# → Fという動きは共通しています。
このような下降進行は、切なさや緊張感を表現するときに使われることがあります。
この曲の面白いところ④ 静かな曲がロックへ変わる理由
「Stairway to Heaven」は、コード進行だけでなく、曲全体の盛り上げ方も特徴的です。
序盤はアコースティックギターのアルペジオが中心です。
アルペジオとは、コードの音を一度に鳴らさず、順番に弾く奏法です。
曲が進むと、ドラムやエレキギターが加わり、最後は力強いロックサウンドになります。
| 比較 | 序盤 | 終盤 |
|---|---|---|
| ギター | アルペジオ | 力強いコード演奏 |
| ドラム | ほとんど登場しない | ビートを強調 |
| コード進行 | 半音下降が印象的 | Am・G・Fなどが中心 |
| 音の強さ | 静か | 大きい |
| 全体の印象 | 繊細で落ち着いた雰囲気 | 力強く盛り上がる |
同じAマイナーを中心にしていても、演奏方法やリズムが変わることで、まったく違う印象になります。
音楽理論を学ぶときは、コードだけでなく、音の強さや楽器の重なり方にも注目してみましょう。
よくある質問 Q&A
Q1. この曲のキーはAマイナーですか?
基本的にはAマイナーです。ただし、途中にはナチュラルマイナー以外の音も使われています。
Q2. イントロのコードが難しいのはなぜですか?
通常のAm・C・Fなどに加え、ベース音を半音ずつ動かすための特殊な押さえ方が使われているからです。
Q3. Eaug/G#はE/G#と同じですか?
同じではありません。EaugはE・G#・B#、EはE・G#・Bです。5度の音が半音違います。
Q4. クリシェはマイナーコードでしか使えませんか?
いいえ。メジャーコードでも使えます。特定の音を半音ずつ動かすことで、コードに変化を付けられます。
Q5. ギターソロはAマイナーペンタトニックで弾けますか?
Aマイナーペンタトニックは、ソロを考える際の有力な土台になります。ただし、すべてのフレーズがその5音だけで構成されているわけではありません。コードの構成音にも注目すると理解が深まります。
今回のレッスンのまとめ
「Stairway to Heaven」から学べる大切なポイントは4つです。
- Amから始まるベースの半音下降が、イントロの美しい流れを生み出している。
- オンコードを使うと、コードを変えながらベース音をなめらかにつなげられる。
- Aマイナーを中心にしながら、G#やF#などの音も使われている。
- コードだけでなく、アルペジオやドラムの入り方によって、曲の印象は大きく変わる。
特に面白いのは、たったひとつのベース音の動きが、曲全体の雰囲気を作っていることです。
ぜひイントロをゆっくり弾きながら、低い音がどのように動いているか確かめてみてください。
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