Aerosmith「Dream On」|バンドが生まれる前から、歌は始まっていた

名曲のひみつ / ハードロック / 1973年

Aerosmith「Dream On」|バンドが生まれる前から、歌は始まっていた

この曲、どんな物語?

静かなピアノから始まって、最後に大きな声が空へ伸びていく。そんな曲に、まだバンドが有名になる前の夢がつまっていました。

バンド結成前からあった曲

スティーヴン・タイラーは、この曲のもとになる音楽をエアロスミスが結成される前から考えていたと話しています。まだ誰も自分たちの名前を知らないころ、一人でピアノに向かって作っていたメロディー。何年もあとにバンドの代表曲になったと考えると、不思議な気持ちになります。大切にしていたアイデアが、すぐ完成するとは限らないのです。

ピアノの曲がギターの曲になる

この曲の演奏にはピアノのイメージがありますが、初期のエアロスミスはライブへ大きなピアノを持ち運べる状況ではありませんでした。ギタリストのジョー・ペリーは、二人のギターでピアノの音を分け合うように演奏したことを語っています。違う楽器でも、工夫すれば曲の大事な部分を伝えられる。小さな音楽教室の発表会にも通じる話ですね。

歌い方にも物語がある

序盤の歌声は、語りかけるように落ち着いています。それが少しずつ高まり、最後には力いっぱい歌い上げます。ずっと同じ声の大きさだったら、あれほど胸に迫らないかもしれません。静かに歌う時間があるからこそ、大きな声が生きるのです。聴く人が思わず息を止めるような変化に注目してみてください。

発売してすぐ大ヒットしたわけではない

「Dream On」は1973年のデビューアルバムに収録されました。発売直後から現在のような大きな評価を得ていたわけではなく、のちの再発売などを経て広く知られるようになりました。名曲であっても、すぐに多くの人へ届くとは限らない。時間をかけて曲の魅力が見つかることもあります。

夢を歌う曲を聴くなら

最初はピアノと歌の雰囲気を、次はギターがどんな音を加えるかを聴いてみましょう。最後は声の高さが変わるところに集中してみてください。上手に歌うことだけではなく、どこで力を込めるかが大事なのだとわかります。

小さな声から大きな叫びへ

曲の前半には、まだ眠っている夢をそっと話すような雰囲気があります。ピアノの音が響き、歌も力を抑えています。それが後半になると、声が空に届きそうなほど強くなっていく。同じ歌い手の声でも、出し方によって景色が大きく変わることがわかります。歌を練習するときは、最初から全部大声で歌わない方が、曲の物語が伝わることもあります。「どの言葉から声の力が増えた?」と聴いてみてください。その変化を見つけるだけで、この曲の山場をより楽しめるはずです。

聴き方のヒント

まずは何も考えずに聴いて、次は記事で気になった音を探してみよう。知ってから聴くと、同じ曲にも新しい表情が見つかります。

第11版:もう一度聴いて発見すること

静かな歌から大きな叫びへ

最初は声を抑えるようにして歌われ、終盤へ行くほど感情が強くなっていきます。注目してほしいのは、ずっと同じ強さで歌わないところ。言葉の意味が全部わからなくても、声の高さや強さだけで気持ちの変化が伝わります。

ピアノとギターが作る落ち着いた雰囲気の上に、少しずつ声の熱が加わる。最後の盛り上がりを知ったうえで、もう一度冒頭へ戻ると、静かな一音にも意味が感じられます。