James Taylor「Fire and Rain」|飛行機事故の歌ではなかった、悲しみの背景

名曲のひみつ / SINGER-SONGWRITER / 1970年

James Taylor「Fire and Rain」|飛行機事故の歌ではなかった、悲しみの背景

悲しい歌に広まった勘違い

「Fire and Rain」には、飛行機事故で恋人を失った歌だという話が広まったことがあります。しかし、この説明は正確ではありません。プロデューサーのピーター・アッシャーは、飛行機を思わせる歌詞は以前のバンド「The Flying Machine」の解散につながっていると説明しています。噂の方が本当の話より広がりやすいこともあるんですね。

友人スザンヌのこと

この曲には、ジェームス・テイラーが知っていたスザンヌという女性の死が深く関わっています。プロデューサーは、友人が亡くなったことをテイラーがあとから知ったという事情も語っています。曲には身近な人を失った悲しみがあり、ただの想像の物語ではありません。

三つの気持ちが重なる

この歌をひとつの事件だけで説明しようとすると、大切なものを見落とします。友人との別れ、自分自身の苦しかった時期、活動していたバンドの終わり。違う種類のつらさが、ひとつの歌の中に集まっているのです。人の心は、一度にひとつの気持ちだけを持つわけではありません。

やさしい声だから届く

曲の演奏は激しくありません。アコースティックギターの音が落ち着いて流れ、その上に声が重なります。声を張り上げて悲しみを表現するのではなく、話しかけるように歌う。その静かさが言葉を大切にしています。

歌の真実をたずねる

「この曲は何の歌?」と検索すると、短い説明が見つかります。でも、その説明が本人や関係者の話と一致しているとは限りません。「Fire and Rain」は、音楽の裏話を読むとき、誰が話した情報なのか確かめる大切さも教えてくれる一曲です。

名曲のひみつ

「この曲は何の歌?」と検索すると、短い説明が見つかります。でも、その説明が本人や関係者の話と一致しているとは限りません。「Fire and Rain」は、音楽の裏話を読むとき、誰が話した情報なのか確かめる大切さ

大きな声を出さない強さ

「Fire and Rain」の魅力は、静かなギターと声の距離の近さです。大勢に向かって叫ぶというより、隣に座った人に話しているような響きがあります。悲しい経験を扱う歌だからといって、演奏まで大げさになる必要はありません。

ギターの弦を弾く細かな音に注目してみましょう。たった数本の弦が交代で鳴るだけでも、歌の後ろにはやさしい流れが生まれます。歌う人の息とギターがどのタイミングで重なるかを聴くと、静かな曲の中にもたくさんの動きがあるとわかります。