There Will Never Be Another You|映画から飛び出した「あなたは一人だけ」の歌

名曲のひみつ / ジャズ・スタンダード

There Will Never Be Another You|映画から飛び出した「あなたは一人だけ」の歌

▶ YouTubeで演奏を探す(公式音源は未確認) ↗

こんなところから始まった曲

「There Will Never Be Another You」を知っている人でも、最初からジャズのための曲だったのか、誰が作ったのかまでは知らないかもしれません。1942年の映画『Iceland』のために作られた曲。作曲はハリー・ウォーレン、作詞はマック・ゴードン。映画作品の外でも、多くの歌手とジャズ奏者に取り上げられてきた。 いまでは何気なく流れてくる音楽も、生まれたときには当時の人々にとって新しい作品でした。まずはその出発点を知ってから聴いてみると、同じメロディーがちょっと違って感じられます。

この曲のいちばん面白いところ

歌の題名は「あなたの代わりになる人はいない」という意味。難しい言葉を使わず、誰かを特別に思う気持ちを正面から伝える。 曲には短い時間で覚えられる顔がありますが、その顔をどう見せるかは演奏する人によって違います。譜面に書いてある音をたどるだけではなく、音を長く伸ばすのか、少し急ぐのか、静かに始めるのかで、聴く人の印象は変わります。「正解の演奏は一つ」と考えず、いろいろな演奏を聴き比べると楽しさが広がります。

ジャズで演奏され続ける理由

ジャズでは、まず誰もが知っているメロディーを示し、そのあとに各楽器が自由なフレーズを加える演奏がよくあります。これを「アドリブ」と呼びます。覚えた歌を、友だちが自分なりの言葉で言い換えるようなものです。「There Will Never Be Another You」も一度聴いて終わりではなく、歌、ピアノ、管楽器などの違う版を楽しめる曲。楽器が変わるだけで、曲の表情はぐっと変わります。

ここを聴いてみよう

ジャズの演奏ではテンポや編成を変えることで、切ない別れの歌にも、明るい思い出を語る曲にも聴こえる。 最初は何も気にせず聴き、2回目にひとつの音だけ追いかけてみましょう。ドラムがあるなら足で拍子を取ってみる、ピアノなら高い音と低い音を聴き分けてみる。歌があるなら言葉の切れ目にも注目してください。曲の説明を先に全部覚える必要はありません。自分の耳で一つ発見したら、それだけで十分です。

音楽って不思議

「There Will Never Be Another You」のように長く愛される曲は、ある時代の一つの作品でありながら、別の時代の人にも聴かれています。作曲家の思いを知る楽しさと、今の自分がどう感じるかは別のこと。古い曲だから難しい、と身構えなくても大丈夫です。演奏の雰囲気が好き、ピアノの音が好き、名前が面白い。入り口は何でもいいのです。

次の一曲を探すヒント

気に入ったら、同じ曲の別の録音をもう一つ選んでみてください。最初の演奏と比べると、テンポ、楽器、メロディーの飾り方などに違いがあります。今まで気づかなかった音が聞こえるかもしれません。曲を深く知るということは、専門用語を暗記することだけではありません。何度か聴き直して、そのたびに小さな発見を重ねること。その楽しさを「There Will Never Be Another You」から感じてもらえたらうれしいです。

名曲のひみつ・まとめ

ひとつのメロディーにも、生まれたときの物語と、演奏する人が加える新しい物語があります。曲の背景を知ったら、ぜひもう一度聴いてみよう。

二度と同じ演奏にならない曲

題名には「あなたの代わりはいない」という意味があります。その言葉は、ジャズの演奏にも似合います。同じ曲を同じメンバーで演奏しても、その日の気分や相手の音への反応で、少しずつ違う演奏になるからです。

最初のメロディーが終わったあと、ソロに入った楽器がどんな音を選ぶかを聴いてみてください。次の音を予想して、当たっても外れても楽しい。聴く人まで演奏の会話に参加しているような気持ちになります。

参考資料

出典ページを確認する ↗

※本文は編集初稿。歴史的事実の追跡確認、2,000字基準、動画の確認は最終校正で実施。