002 勘は経験から生まれる。|『不確かなことより、確かなことを。』

不確かなことより、確かなことを。

002 勘は経験から生まれる。|『不確かなことより、確かなことを。』

勘は経験から生まれる。

「勘がいい人。」

そんな言葉を聞くことがあります。

初めてのことなのに、なぜかうまくいく人。

迷わず正しい選択をする人。

その姿を見ると、「才能なのかな」と思うこともあります。

でも私は、勘の正体は才能ではなく、経験の積み重ねだと考えています。


例えば、初めて訪れた街なのに、

「駅はたぶんこっちだ。」

そんな感覚になったことはありませんか。

それは偶然ではありません。

これまで歩いてきた街の構造や、人の流れ、建物の配置など、無意識のうちに蓄積された経験が、「たぶんこっち」という感覚を生み出しています。

土地勘という言葉がありますが、実際にはその土地だけの経験ではありません。

過去に歩いた似たような街。

似たような道路。

似たような景色。

そうした記憶が一瞬で結びつき、勘として現れているのだと思います。


音楽もまったく同じです。

耳コピが得意な人を見ると、

「耳がいい。」

と言われることがあります。

もちろん、生まれ持った感覚も多少はあるでしょう。

しかし、それ以上に大きいのは経験です。

何百曲、何千曲と聴き続ける。

何度もコピーする。

コード進行を覚える。

リズムを感じる。

その積み重ねが、「次はこの音だろう」という感覚を育てます。

つまり、音楽でいう勘も、経験から生まれているのです。


私はレッスンでも「コピー」をとても大切にしています。

譜面を見ることも大切ですが、それ以上に耳で聴くこと。

歌い方。

リズム。

間の取り方。

強弱。

それらは譜面だけでは伝わらないことがたくさんあります。

だから、まずはよく聴く。

そして真似をする。

その経験が少しずつ積み重なり、自分だけの感覚になっていきます。


仕事でも同じです。

経験を積んだ人ほど、判断が早くなります。

それは未来を予知しているのではありません。

過去に似た場面を何度も経験しているからです。

「前もこんなことがあった。」

「この流れなら、こうなることが多い。」

その経験が、一瞬で答えを導き出しているだけなのです。

だから私は、「勘を鍛えたい」と思ったら、経験を増やすことが一番の近道だと考えています。


もちろん、失敗することもあります。

でも、その失敗も経験になります。

成功だけが経験ではありません。

むしろ、失敗した経験ほど強く記憶に残り、次の判断を助けてくれます。

そうやって、人は少しずつ自分だけの「勘」を育てていくのだと思います。


私は、不安になったときほど行動することを大切にしています。

経験が増えれば、判断材料も増えます。

判断材料が増えれば、迷う時間は少しずつ減っていきます。

だから今日の経験は、未来の勘になります。

勘は突然手に入るものではありません。

毎日の積み重ねが、少しずつ形になったものです。

だから焦る必要はありません。

今日できる経験を、一つずつ増やしていけばいい。

その積み重ねが、未来の自分を支えてくれると信じています。


ムジカスケッチで大切にしていること

このシリーズでお伝えしていることは、音楽を教える中で感じたこと、生徒さんとの出会い、そして私自身が日々の経験から学んできたことを、一つひとつ言葉にしたものです。

ムジカスケッチは、ギターやボーカル、ドラムの演奏技術だけを学ぶ場所ではありません。

できなかったことが、できるようになる喜び。

小さな成功体験を積み重ねること。

自分のペースで、一歩ずつ成長していくこと。

そんな経験を大切にしながら、一人ひとりと音楽に向き合っています。

私は、音楽も人生も、とてもよく似ていると感じています。

未来は誰にも分かりません。

だから未来を心配し続けるのではなく、今日できることを一つずつ積み重ねる。

その積み重ねが、自分だけの経験となり、迷ったときの支えとなり、新しい一歩を踏み出す力になると信じています。

そして、その考え方を音楽を通して実践している場所が、ムジカスケッチです。

これからも、一人ひとりとの出会いを大切にしながら、音楽とともに、日々の経験から生まれた考え方を発信し続けていきます。

不確かなことより、確かなことを。

その言葉を胸に、今日できる一歩を、これからも大切にしていきたいと思います。



小学5年生〜中学3年生の方は、