スピッツ「空も飛べるはず」 のコード進行と音楽理論
透明感のあるメロディと、 どこか切なさを感じるコード進行。 スピッツの「空も飛べるはず」には、 ポップスの音楽理論を学ぶための ヒントがたくさん隠れています。
今回は、イントロからサビまでの コード進行を比較しながら、 その仕組みを紹介します。
まずは原曲を聴いてみよう
コード進行を分析する前に、 曲全体を聴いてみましょう。 イントロとサビの雰囲気、 ベースの動き、 コードの変化にも注目してみてください。
この曲は1994年に発売されました。 コードの仕組みを知ったあとに もう一度聴くと、 最初とは違った発見があるかもしれません。
この曲の基本を確認しよう
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アーティスト | スピッツ |
| 曲名 | 空も飛べるはず |
| 発売 | 1994年 |
| キー | Cメジャー |
| 拍子 | 4/4拍子 |
| 主な学習テーマ | ダイアトニックコード、 セカンダリードミナント、 オンコード、王道進行 |
最初に知っておきたいこと
この曲はCメジャーを中心に進みます。 そのため、まずCメジャースケールから 作られる7つのコードを理解すると、 曲全体を分析しやすくなります。
Cメジャーのダイアトニックコード
ダイアトニックコードとは、 ひとつの音階に含まれる音を使って 作られるコードです。
Cメジャースケールは、 C・D・E・F・G・A・Bの 7音でできています。
| 度数 | コード | 構成音 |
|---|---|---|
| I | C | C・E・G |
| ii | Dm | D・F・A |
| iii | Em | E・G・B |
| IV | F | F・A・C |
| V | G | G・B・D |
| vi | Am | A・C・E |
| vii° | Bdim | B・D・F |
この7つのコードが、 Cメジャーの基本になります。
「空も飛べるはず」では、 これらのコードが多く使われていますが、 一部にはキーの外から来たコードもあります。
イントロ|C → G → Am
イントロでは、 C → G → Amという コード進行が繰り返されます。
I → V → vi
明るいのに、少し切ない理由
Cはメジャーコード、 Amはマイナーコードです。
Cから始まる明るい雰囲気が、 Amへ進むことで 少し違った表情になります。
ただし、マイナーコードが 登場したからといって、 キーがマイナーに変わったわけではありません。
この3つのコードは、 すべてCメジャーの ダイアトニックコードです。
シンプルな進行でも、 メロディや演奏によって 独特の雰囲気が生まれます。
Aメロ|D7が生み出す意外な響き
Aメロの基本的なコード進行は 次のようになります。
前半はすべて Cメジャーのダイアトニックコードです。
しかし、後半のD7には Cメジャースケールにない F#という音が含まれます。
| コード | 構成音 | 特徴 |
|---|---|---|
| Dm | D・F・A | Cメジャーのii |
| D7 | D・F#・A・C | Gへ向かうドミナント |
| G | G・B・D | CメジャーのV |
セカンダリードミナントとは?
D7はGへ進む力を持つコードです。 Gを一時的な到着点として考えることで、 D7をセカンダリードミナント (V7/V)と分析できます。
D7に含まれるF#は Gへ半音で進むため、 次のコードを強く感じさせます。
このように、一時的に別のコードへ 向かう力を作ることができます。
D7が出てきても、 必ずしもGメジャーへ 転調しているとは限りません。
この曲ではCメジャーの流れの中で、 Gへ向かう力を強めるコードとして 理解できます。
Bメロ|なめらかなコードのつながり
Bメロでは、 Am7やFmaj7などの セブンスコードが登場します。
ここではC/Eという オンコードにも注目してみましょう。
| コード | ベース音 | 特徴 |
|---|---|---|
| Dm7 | D | マイナーセブンス |
| C/E | E | Cコードの第1転回形 |
| Fmaj7 | F | メジャーセブンス |
| G | G | ドミナント |
ベース音が階段のように上がる
Dm7 → C/E → Fmaj7 → Gでは、 ベース音がD → E → F → Gと 順番に上がっていきます。
コードそのものは変わっていても、 ベース音がなめらかにつながることで、 自然に盛り上がる流れが生まれます。
C/Eのようなコードは、 ギターやピアノの伴奏でも よく使われる考え方です。
コード名だけでなく、 最も低い音がどのように 動いているかも聴いてみましょう。
サビ|王道進行が生み出す高揚感
サビでは、 イントロにも登場した C → G → Amという進行が使われます。
その後はF → G → Cへ進み、 Cメジャーに落ち着きます。
注目したい4つのコード
IV → V → iii → vi
この進行は、 J-POPで「王道進行」と 呼ばれることがあります。
GからEmへ進むことで、 予想していたCへの解決とは 違った流れが生まれます。
さらにEmからAmへつながり、 メロディと重なることで 印象的な響きになります。
また、サビにはD7 → Gも登場します。 Aメロで学んだ セカンダリードミナントが ここでも使われています。
曲の中で同じ仕組みが 何度も登場することに 注目してみましょう。
曲全体のコード進行を比較しよう
ここまでの内容を ひとつの表で整理してみましょう。
| 部分 | 代表的な進行 | 学べること |
|---|---|---|
| イントロ | C → G → Am | I・V・viの組み合わせ |
| Aメロ | C → Dm → G → Am | ダイアトニックコード |
| Aメロ後半 | F → C → D7 → G | セカンダリードミナント |
| Bメロ | Dm7 → C/E → Fmaj7 → G | オンコード・ベースの上昇 |
| サビ | F → G → Em → Am | 王道進行 |
| サビ後半 | D7 → G | V7/VからVへの進行 |
※コードは音楽理論の説明に必要な 代表部分を抜粋しています。 録音や譜面によって、 セブンスコードやテンション、 転回形の表記が異なる場合があります。
この曲から学べる4つの音楽理論
Cメジャーの基本コードが、 曲全体の土台になっています。
CとAmのように、 コードの響きの違いが 曲の表情につながります。
D7によってGへ向かう力を作り、 コード進行に変化を加えます。
C/Eを使い、 D → E → F → Gという なめらかなベースラインを作ります。
ギターやピアノで弾き比べてみよう
音楽理論は、 実際に音を出して確かめると 理解しやすくなります。
メジャーからマイナーへ 変わる響きを聴いてみよう。
FとF#の違いが、 次のGへの進み方を どう変えるか確かめよう。
コードの響きだけでなく、 ベース音が順番に上がる 動きも意識しよう。
王道進行をゆっくり弾いて、 ひとつずつのコードの役割を 感じてみよう。
最初はコードを正確に押さえるだけでも 十分です。 慣れてきたら、ベースラインや メロディの動きも聴いてみましょう。
名曲の中に、音楽理論のヒントがある
「空も飛べるはず」は、 親しみやすいメロディの中に、 ダイアトニックコードや セカンダリードミナント、 オンコードなどが自然に 組み込まれている楽曲です。
難しい理論を先に覚えるよりも、 好きな曲を弾いて、 「なぜこの響きになるんだろう?」 と考えることから 始めてもいいと思います。
音楽を聴いて、弾いて、 少しずつ理解する。 その積み重ねが、 新しい演奏の楽しさにつながります。
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